(1)就業規則は、使用者が決めて、それを文書にした職場の規則です。
就業規則を決めるのは、当然使用者もっと簡単に言うと、会社の社長さんや、事業主です。この時点で社員さんと相談して決める必要はありません。
(2)使用者は常時10人以上の従業員を使用する各事業所ごとに、就業
規則を作成し、労働基準監督署に届ける義務があります。
・常時10人以上とは、会社全体の人数ではなく、工場や事務所単位で見た時の人数です。
・ですから全体では30人の従業員がいたとしても、4つの事務所や工場に7人から8人づつ分かれていた場合は作成の義務はありません。
・ただし10人の中には、正社員だけでなくパートのおばちゃんや、契約社員も入りますが、派遣労働者、請負労働者は入りません。
・一時的に10人を切れるようなことがあっても、ほとんどの場合10人いることがあるのなら作成義務があります。
(3)就業規則に記載する事項には、必ず記載しなければならない事項と、
あえて規定を作ってまで書かなくてもよいが、そういう規定があるのなら記
載しなければならない事項があります。
・絶対的記載事項(必ず記載しなければならない事項)・・言い換えると最低このことだけは書いてくださいという事項です。じゃ最低書かなければならない事項のうちの一部が抜けていた場合どうなるかと言うと、その効力発生には他の要件さえ満たしていれば有効とされますが、使用者は作成義務違反になりますので、注意してください。(実際には労働基準監督署へ持って行った時に内容上不備が見つかれば、指導の上再提出することになります。)
・絶対的記載事項にはどんなものがあるか
@始業就業の時刻・・その事業場での所定労働時間の開始時刻と終了時刻
A休憩時間・・・・・休憩時間の長さ、与え方(みんな一斉に休憩するのか、交代でするのか等)
B休日・・・・・・・所定休日日数や与え方(1週1回か特定日に与えるのか等)
C休暇・休業・・・・年次有給休暇、産前産後の休業、育児休業他について
D交代性勤務・・・・交代性勤務を行なう場合の交代の順序等
E賃金の決定・計算方法・・賃金体系、年齢、学歴等の賃金決定要素等
F賃金の支払い方法・・月給制、日給制、それとも年俸制等
G賃金の計算の締め切り日、支払い時期・・何日に締め切って、何日に支払うか
H昇給期間、昇給率等・・いつ、どのくらい昇給するか等
I退職に関する事項・・従業員としての身分をどういう場合に失うかを記載する
以上10項目について記載したら、労働基準監督署に提出出来る最低限のことは書いたことになります。
(4)従業員の過半数を代表するものから意見を聞く
絶対的記載事項を記載したからといって、すぐに労働基準監督署に持っていくことは出来ません。
従業員(正社員、契約社員、パート、アルバイター等も含む)の過半数を代表するものの意見を聞かなければなりません。ただし同意を得る必要や、協議をする必要はありません。意見のある場合はもちろん、ない場合でもそれを書面にしてもらって、意見を聞いたことが客観的に見て判るようにしておかなければなりません。
(5)労働基準監督署への届出
(4)まで済んだら、労働基準監督署へ届けましょう。
就業規則作成届け、就業規則、従業員代表者の意見書をそれぞれ2部ずつ作って届け出ます。そして受理印をもらってきます。
(6)使用者は就業規則を全従業員に周知する義務がある
労働基準監督署で受理印を貰って帰ってきたら、そのまま金庫にしまったり、机の引き出しに入れたままにしてはいけません。
・事業場の見やすい場所に掲示する
・印刷して配布する
・磁気テープなどに記録して、労働者がいつでも見れるような機器(パソコン等)を設置する。
以上のような方法で周知します。(周知とは従業員がこれを知りうる状態にある事を言い、、実際に個々の規定の内容を把握しているかどうかとは別問題です。)違反すると罰則があります。(周知をして始めて就業規則の効力発生要件とするという考えが主流となりつつあります。周知してないと、何か起こったときに就業規則に書いてあると主張しても、その主張が通らなくなります。)
以上がとにかく労働基準監督署に就業規則を提出するのに、最低限必要なことです。他にまだ必要なことはいくらでもありますが、これだけのことをやれば一応就業規則の作成、提出、周知の義務は果たしたことになります。これなら社長さんも自分で出来るかもしれません。でもちょっとやっかいやなあ、難しいなあと思われるのなら、当事務所に作成を申し込んでください。 ここをクリックしてください
この段階の就業規則を私は第1段階の就業規則と位置づけています。と
にかく労働基準監督署への提出義務までは果たしましたが、リスクの面か
ら見ると危険な段階です。一日も早く第2段階の就業規則に変更すること
をお勧めします。
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〈この就業規則がどんなリスクを含んでいるか観てみましょう〉
(1) 割増賃金について
所定労働時間(会社が決めた一日の労働時間)と法定労働時間(労働基準法上決められている一日の労働時間)を明確に区別して運用していますか?
たとえば一日の所定労働時間が7時間の会社で2時間の残業をした場合、労働基準法上では何時間分の割増賃金を払わなければならないでしょか?
この場合会社が就業規則で、2時間分払うという規定をすればそれが優先されますが、労働基準法上は1時間分の労働に対する割増賃金を支払えばいいのです。
会社の規模によっては、年間で数百万円の差が出る場合もありますので御注意を!
(2) 休日について
法定休日と所定休日を分類していますか
法定休日・・一週間に一日与えればよい(労働基準法上)
所定休日・・会社が独自に定めた休日
たとえば月曜日を一週間の起算日としている会社で、休日となっているその週の土曜日と日曜日の2日出勤させた場合、2日分の休日出勤手当て(35%の割り増しの賃金)支払っていないでしょうか。
雛形就業規則ではこのあたりが明確に区別されていないので、2日分35%の割増賃金を支払っている場合が多いです。
実際は2日間のうち1日(所定休日)については・・25%の割増賃金
その他の日(法定休日)・・・35%の割増賃金
の支払いで済みます。
このように休日を分類するだけで、年間の割増賃金額に差が出てくるのではないでしょうか。
(3)退職金の支払い
「懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。」こういう規程のある就業規則はないですか。
この件については判例にもあるのですが、退職願いを出して「自己都合退職」した後で、お金を横領していたことが判明した場合でも、退職金の支払い義務が会社には生ずるのです。
要は自己都合で退職した以上、その者を後から懲戒解雇には出来ないので、就業規則で「懲戒解雇された者」にしか退職金を支払わないという規程だけでは、その者は該当しないので支払わなければならないわけです。
(4)パート、アルバイト用の就業規則は別規程で定めていますか。
別規程で定めてないと、パート、アルバイトにも正社員と同じ額の退職金支払わなければならない場合があります。
以上代表的なものについて書きましたが、当然他の規程にもリスクを含んでいるものがあります。
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